家庭の薬膳 第23回 ~ 梨

梨の味と性質


薬膳の考え方では、梨の味は「甘くて」「少し酸っぱく」、性質は「体を冷やす」という分類になります。

梨の効能

梨の種類はとても豊富ですが、大きくは「日本梨」「西洋梨」「中国梨」に分類されます。
日本梨は私たちにはおなじみの、二十世紀梨や幸水、豊水など、しゃりしゃりしてみずみずしいのが特徴です。
西洋梨は、でこぼこした独特の外観に、とろりとした食感や強い甘みのあるもので、ラ・フランスなどがよく知られています。
中国梨は、日本ではあまりなじみがありませんが、見た目は西洋梨に近いしずく形で、甘みと香りが強く、日本梨に近いしゃりっとした食感があります。
中国では、ちょっと不思議なことに、南方では日本梨、黄河流域では中国梨、そして山東省あたりでは西洋梨が一般に食べられています。

さて、梨には下記のような効能があると言われています。

■肺潤(肺の乾燥から来る咳などを緩和)
■清心(心を落ち着かせる)
■体内の余熱による咳の緩和
■痰を鎮める
■秋~冬に特有の口内の渇きをやわらげる

昔からの中国の民間療法では、梨は、小児ぜんそくや風邪による咳、急性の気管支炎の症状をやわらげるために用いられてきました。
この場合は、生ではなく氷砂糖と一緒に煮たものを食べることが多いです。
咳がひどいときは、こちらも咳に効く「杏仁(あんにん)」と一緒にいただきます。
寒さと乾燥の厳しい中国の北の地方では、ひと昔前までは、どの薬局でも梨を煮つめて作ったシロップを普通に買うことができたのだそう。
風邪や咳の予防のために、これを毎日ぬるま湯に溶かして、子供たちに飲ませます。いわば咳止めシロップのようなものですが、甘くておいしいので、子供たちもお気に入りなのです。

梨を使ったレシピはこちら


このページの内容は、中国の昔からの民間療法や、年配の方から伝え聞いた話を基に構成しています。
病気やその他の疾患に、必ず効果があることを保証する訳ではないことをご了承下さい。

15.Oct.2009